公開日:

SignalとLINEの違い|メッセージの中身を運営元に読まれにくいのはどちらか

SignalとLINEの違い|メッセージの中身を運営元に読まれにくいのはどちらか
  • LINEのトークが運営元にどこまで読まれうるのか分からない
  • Signal のほうが安全と聞くが、何がどう違うのか説明を読んでもつかめない
  • 家族や友人がLINEばかりで、乗り換えるべきか迷っている

普段の連絡にLINEを使っていると、メッセージの内容が運営元にどこまで把握されているのか気になる場面があります。

外部からの不正アクセスやアカウントの乗っ取りに関する話題を見聞きして、不安を感じる方も少なくありません。

実際のところLINEでも、1対1のトークメッセージにはエンドツーエンド暗号化(送る人と受け取る人の端末だけが中身を読める暗号化)が標準で適用されています。

ただし、グループ通話やアルバム、ノートといった機能はエンドツーエンド暗号化の対象外です。

一方でSignalは、すべてのメッセージと通話が常に暗号化され、運営元が保持する情報も最小限にとどめられていると公表しています。

だからといって、日頃の連絡先をすべてSignalへ乗り換える必要はありません。

外部に漏れて困る重要なやり取りだけをSignalに分ける形をとれば、これまでの利便性を保ちながら安全性を高められます。

違いは「運営元のサーバーに、読める形で何が残るか」

メッセージアプリの安全性を比較する際は、運営元のサーバーにどのような形でデータが残るかを確認することが出発点となります。

エンドツーエンド暗号化とは、送信者と受信者の端末だけが中身を読める状態にする通信方式のことです。

この方式なら、運営元のサーバーを通ったり保管されたりしても読めない状態のままなので、サーバーへの不正アクセスがあっても、出ていくのは読めない形のデータです。

これに対して、サーバー側で読める形でデータが残る仕組みでは、アカウントの乗っ取りや不正ログインによって会話や情報が流出する危険が生じます。

たとえば日本経済新聞社が2026年10月4日に公表した事案では、社員のMicrosoft 365アカウントに第三者が不正ログインし、なりすましメールが約9000件送信されました。

同社はこの不正アクセスについて、一部のやり取りに関して次のように発表しています。

送信先のメールアドレスや氏名のほか、一部メールの内容が漏洩したとみられます。

https://www.nikkei.co.jp/nikkeiinfo/news/information/1554.html

一般的な電子メールのようにサーバーへ読める形で本文が残る通信では、アカウントへ不正に侵入された場合にメッセージの中身ごと外部へ漏れ出します。

運営元を信用できるかどうかだけでなく、サーバー上に読める形のデータが残るのか、それとも端末間でしか解読できないデータとして扱われるのかが大きな分かれ目です。

暗号化の鍵を誰が握っているかによって、事故や攻撃が起きた際の安全性が根本から変わります。

LINEで暗号化されるもの、されないもの

日本で広く普及しているLINEですが、すべての機能で中身が暗号化されているわけではありません。

公式ヘルプセンターの説明を参照すると、エンドツーエンド暗号化が適用される通信と、そうではない機能が明確に分かれています。

  • 1対1のトークはレターシーリングで暗号化される
  • グループ通話、ミーティング、アルバム、ノートは対象外
  • 既読、スタンプ、URLプレビューはサーバー側で処理される

それぞれの項目がどのように保護されているのか、具体的な内容を順に確認します。

1対1のトークはレターシーリングで暗号化される

LINEでは、メッセージの保護を目的として「Letter Sealing(レターシーリング)」と呼ばれるエンドツーエンド暗号化が導入されています。

このレターシーリングの概要について、LINEの公式ヘルプセンターには以下の記載が存在します。

Letter Sealing(レターシーリング)とは、LINEでトークルームの参加者以外の人やLINEサービスにメッセージの内容が分からないようにするための暗号化技術です。

このエンドツーエンド暗号化とは、送信者と受信者以外の人がメッセージ内容を解読できないようにする通信方式で、サーバー上でもメッセージの内容は暗号化された状態で保存されます。

https://help.line.me/line/smartphone/sp?contentId=50000087&lang=ja

現在のLINEではレターシーリングがあらかじめ有効化されており、利用者が設定からオフに変更することはできません。

1対1のトークでやり取りされるテキストメッセージをはじめ、位置情報や1対1の音声通話・ビデオ通話はこの技術によって暗号化されます。

送受信される画像や動画、ボイスメッセージ、送信ファイルについても端末間で暗号化される対象です。

ただし公式ヘルプには注意書きがあり、画像や動画、ボイスメッセージ、ファイルに関しては、LINEアプリのバージョンや利用環境によって暗号化されない場合があると案内されています。

また、YouTubeなど外部サービスを経由して送信されたメッセージは暗号化の対象から外れます。

グループ通話、ミーティング、アルバム、ノートは対象外

1対1のトークで多くのデータが端末間暗号化される一方、日常的によく使われる一部の機能はレターシーリングの対象外となっています。

具体的には、グループトークにおける音声通話やビデオ通話、LINEミーティングの機能がこれに該当します。

複数人で思い出の写真を共有できるアルバムや、テキストや画像をストックしておくノートもエンドツーエンド暗号化の対象には含まれません。

これらの機能に対しても、通信経路を保護するクライアントとサーバー間の暗号化自体は適用されます。

ただし、送る人と受け取る人の端末だけが中身を読める形ではありません。

したがって、アルバムやノートに保存したデータは、1対1のトークと同じ守られ方ではない、と考えておいてください。

既読、スタンプ、URLプレビューはサーバー側で処理される

メッセージ本文以外の細かな動作に関しても、サーバー側で処理される領域が存在します。

相手がメッセージを開いたことを示す既読表示やスタンプの利用権限の確認は、TLSと呼ばれる通信経路の暗号化で保護されたうえで、サーバー側にて照合されています。

また、トークルームに貼られたウェブリンクの画像や見出しを表示するURLプレビューは、LINEのサーバーが代理で該当のサイトへアクセスして生成する機能です。

サーバーが代理でアクセスすることに不安を感じる場合は、LINEの設定画面からURLプレビューをオフへ変更できます。

情報の種類レターシーリング(エンドツーエンド)備考
1対1のテキストメッセージ対象YouTubeなど他のサービスを通したメッセージは除く
1対1の位置情報対象送信者と受信者の端末間で暗号化される
1対1の画像・動画・ボイスメッセージ・ファイル対象アプリのバージョンや環境によって暗号化されない場合がある
1対1の音声通話・ビデオ通話対象通話内容が端末間で保護される
グループトークの音声・ビデオ通話対象外クライアント-サーバー間通信レイヤーの暗号化が適用される
ミーティング対象外クライアント-サーバー間通信レイヤーの暗号化が適用される
アルバム・ノート対象外クライアント-サーバー間通信レイヤーの暗号化が適用される
既読表示・スタンプの利用権限確認対象外TLSで保護したうえでサーバー側で照合される
URLプレビュー対象外サーバーが代理でアクセスして生成する(設定でオフにできる)

Signal は運営元が持つ情報を減らしている

Signalはプライバシー保護を重視し、サーバー側に残る情報を最小限にとどめる方針をとっています。

  • すべてのメッセージと通話が常に暗号化される
  • 捜査機関に出せた情報は、登録日時と最後の接続日だけ
  • 広告やトラッキングがなく、非営利団体が運営している

具体的にどのような保護が行われているのか、順に確認します。

すべてのメッセージと通話が常に暗号化される

Signalはプライバシー保護に特化した通信アプリとして開発されており、暗号化の適用範囲に例外を設けていません。

1対1のやり取りだけでなく、グループでの会話や通話も含めたすべての通信において、常にエンドツーエンド暗号化が施されます。

公式サイトの日本語ページには、第三者や運営元による盗み見が不可能である旨が次のように明記されています。

Signal の運営サイドを含む他の誰も、あなたのメッセージを盗み読んだり通話を傍受したりすることはできません。プライバシーはオプション設定ではありません。Signal では、すべてのメッセージと通話が常に暗号化されます。

https://signal.org/ja/

この方針により、利用者が意識して個別の設定を切り替えなくても、すべての通信内容が強固に保護されます。

運営元のサーバーを通過する際も暗号化された状態が維持されるため、サービス提供者であっても中身を閲覧することはできません。

捜査機関に出せた情報は、登録日時と最後の接続日だけ

Signalの大きな特徴として、メッセージの中身だけでなく、運営元が持っている情報が少ない点があります。

運営元が保持している情報が少ないため、公的な捜査機関から情報の開示を求められた場合でも、提出できるデータはほとんど存在しません。

2016年にバージニア州東部地区の大陪審から召喚状を受け取った際、Signal側が提出できたのは利用者が登録した日時と、最後にサービスへ接続した日付のみでした。

さらに2026年3月6日の公開文書において同社は、メッセージや通話、プロフィール、グループ、連絡先、通話履歴、そして誰といつやり取りしたかといった記録にそもそもアクセスできないため、法的に有効な要請であっても最初から持っていないデータは共有できないと説明しています。

We’ve designed the Signal service to minimize the data we retain about Signal users, so the only information we can produce in response to a request like this is the date and time a user registered with Signal and the last date of a user’s connectivity to the Signal service.

We simply don’t have access to things like messages, calls, profile information, group information, contacts, stories, call logs, and many other kinds of content and metadata, and we cannot share data in response to valid legal requests that we never had in the first place.

https://signal.org/bigbrother/

運営元が持っていない情報は、要請があっても出せず、不正アクセスがあっても出ていきません。

広告やトラッキングがなく、非営利団体が運営している

多くの無料サービスでは広告配信や行動追跡のために利用者のデータが集められますが、Signalにはそのような仕組みが導入されていません。

運営方針について、Signalの公式ページでは広告や追跡の排除が次のように書かれています。

Signal には、広告も、アフィリエイトマーケティングも、不気味なトラッキングもありません。

https://signal.org/ja/

組織形態としてSignalは独立した非営利団体であり、開発費や運用費は支援者からの寄付によって賄われています。

提供されているアプリは誰でも無料で利用でき、AndroidやiPhone、iPadのほか、Windows、Mac、Linux向けにも幅広く提供されます。

比べたときの違いのまとめ

これまで見てきた暗号化の範囲や運営形態の違いを整理すると、両者の特徴がより明確になります。

それぞれの機能を対比させた一覧は以下のとおりです。

項目LINESignal
1対1のトークレターシーリングにより暗号化されるすべて暗号化される
グループ通話レターシーリングの対象外(通信経路の暗号化のみ)すべて暗号化される
写真をまとめて残す機能アルバムやノートはレターシーリングの対象外すべてのメッセージが常に暗号化の対象
運営企業が運営独立非営利団体(寄付や支援で開発)
相手の利用者の多さ家族や友人がすでに使っていることが多いやり取りする相手にも新しくアプリを入れてもらう必要がある

LINEは周囲の利用者が多く連絡網として定着している反面、アルバムやノートなど暗号化の対象外となる機能を含みます。

対するSignalは網羅的な暗号化と情報の最小化を徹底しているものの、やり取りには相手側の事前導入が欠かせません。

乗り換えるか、使い分けるか

両者の特徴を踏まえたうえで、すべての連絡先を無理に乗り換える必要はありません。

  • 漏れて困るやり取りだけSignalに分ける
  • LINEを使い続けるなら、アルバムやノートに漏れて困るものを置かない

情報の重要度に応じて安全性を高める方法を、順に確認します。

漏れて困るやり取りだけSignalに分ける

日常的な連絡手段をすべてSignalへ切り替えるのは、周囲との関係上現実的ではない場合がほとんどです。

家族や友人にアプリの導入をお願いする手間が伴うため、連絡網の全面的な移行は容易ではありません。

そのため、漏れて困る重要な話題に絞ってSignalを活用する方針が役立ちます。

お金に関する相談や自身の健康状態、仕事上の機密事項、家庭内の事情などは、Signalを使ってやり取りしてください。

限られた相手と特定の話題だけで使い分ける形であれば、人間関係に負担をかける心配もありません。

LINEを使い続けるなら、アルバムやノートに漏れて困るものを置かない

連絡網の利便性を重視してLINEを使い続ける場合でも、機能ごとの特性を意識すれば安全性は大きく向上します。

1対1の通常トークであればレターシーリングによってエンドツーエンド暗号化が施されるため、日常的な会話は十分に保護されています。

気をつけるべきなのは、暗号化の対象から外れているアルバムやノートの取り扱いです。

身分証明書の写真や金融機関の口座情報、重要なパスワードのメモなどを、手軽だからといってアルバムやノートへ保存してはいけません。

サーバー側に読める形でデータが残る場所に機密情報を置かないよう徹底するだけでも、不正アクセス時の漏れたときに困るものを減らせます。

どちらを使っても、端末を開けられれば読まれる

どれほど強固なエンドツーエンド暗号化を採用していても、スマートフォンの画面を直接見られてしまえば会話の内容は隠せません。

アプリが提供する暗号化は、通信経路における傍受や運営元サーバーからの漏洩を防ぐための防壁です。

ロックが解除された状態の端末を物理的に操作されたり盗み見られたりすれば、画面上に展開された過去のやり取りはそのまま露出します。

通信アプリの選択と並行して、スマートフォンのロック画面を強固に保護する対策を忘れずに行ってください。

まとめ

LINEとSignalの最大の違いは、通信内容が常に暗号化されている範囲と、運営元のサーバーへ読める形で残る情報の量にあります。

すべての連絡先を無理に乗り換えるのではなく、機密性の高いやり取りだけをSignalに分ける運用が現実的です。

合わせて、アプリ内の暗号化だけに頼るのではなく、端末そのものの画面ロックを厳重に保つ習慣を意識してください。

スマホのロックを顔認証からパスコードに切り替える方法は、スマホの顔認証は強制的に解除されうる|iPhoneでパスコードだけにする設定と一時的に無効にする方法で確認できます。